シーズン52号ホームランは戦後初の3冠王、野村克也さん、プロ野球最多の3度の3冠王を獲得している落合博満さんに並ぶ大記録です。村上は「偉大な野村克也さんと本塁打数が並ぶことができて光栄です」と話していました。ホームベースを踏む際、そしてベンチでも空に向かって手を合わせ、天を仰いでいました。きっと天国の野村克也さんに報告していたのでしょう。
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高津監督は「どうだろう。本当にわれわれのお父さんくらいの年代の方なので、ムネはピンとこないかもしれないけど、そのとき野村監督に「今年入った村上です」って紹介した、西都(ヤクルトがキャンプを行う宮崎の野球場)の三塁ベンチがきのうのように思い出させられますよ。思い出しますよ。「ええ体してんな」っていうところからね、頑張れっていう話を、3塁ベンチに座ってしていたけど」と振り返っていました。
プロ入り時は野村さんと同じ捕手だった村上。18歳の時、村上に会った野村さんが「打撃で何を一番気を付けているの?」と聞くと村上は「疲れがたまると体が開く癖があるので…」と答えました。これに対して野村さんは「俺は足しか考えたことがない。足を正しく動かせば上半身は自然とついてくるから」とアドバイスしました。
また、名前を聞いて「村上?マッシ―村上(アジア人初のメジャーリーガー、村上雅則さんの愛称)か?関係ない?」と冗談を言い、村上が「関係ないです」と笑って答える場面もありました。
村上に「ホームランって狙って打ってるの?」と聞き、「いや、打ってないです」と返されると「王ともそんな話をしたんだけど狙ってないっていうんだよ。日本で一番ホームランを打った王でも狙ったことないっていうんだから。自分を信じて。自分のバッティングをすれば勝手に球は飛ぶから。その身体で証明できる。王をしのぐバッターになってください」とエールを送りました。
また、王さんの記録については「手が届かないなんてとんでもない。同じ人間なんだから。王の記録(55本)なんか破っちゃえ。とりあえず俺の記録(52本)破れ」と語っていました。
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野村さんは「三流は無視、二流は称賛、一流は批難」という言葉を残していました。19歳の村上の守備のミスに対して「何をやってんだか。お粗末極まる」や「何やってんだよ。素人か?」といった厳しいコメントをすることもありました。これらのコメントも村上が一流の選手になることをわかっていてのことだったと思います。
また、村上に対しては直接電話で話し、「調子が悪くなるとバットに当てないといけないと考えてしまって、どういう気持ちで打席に立てばいいですか?」という質問に対して「打席に入ってさ、ボールを見るとか、にらみつけるとかって意識したことある? いっぺんやってみ。フォームがどうのこうのって考えてもしょうがないから。本当にバッティングの原点。ボールをよく見るという意識でやっていったほうがいい」というアドバイスを送ることもありました。
このアドバイスが現在の村上の打席での鋭い眼光、そして高いミート力にもつながっているのではないでしょうか。また、野村さんが初対面時に褒めた体もさらに大きくなり、パワーも増しています。
高津監督は選手時代も、そして監督就任後も野村さんの教えを受けて成長してきました。選手時代は「高津、100キロのシンカーを投げられないか」という一言からシンカーが高津投手の大きな武器となり、監督時代には「頭を使え。頭を使えば勝てる。最下位なんだから好きなように思い切ってやりなさい」というアドバイスを受けていました。
そんな高津監督が2軍監督時代から成長を見届けてきた村上は野村さんから見ればまさに孫弟子のようなものです。野村さんの野球は時代を超えて生き続けています。
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6日の試合は延長戦に入り、ヤクルトは11回表に山崎の四球、中村のヒット、山田の四球でノーアウト満塁のチャンスを作ります。この時打席に立った村上は三振に終わりましたが、後に続く塩見のタイムリーヒットで試合はヤクルトが制しました。
この日のセ・リーグの全試合が終了した時点で村上の打率は.341で1位。2位の大島は.324で3位の佐野は.313となっています。野村さんが成し遂げた3冠王に村上も大きく近づいています。
残り試合は21試合で王さんの日本人最多55号まで残り3本、バレンティンのNPB最多60号まで残り8本としました。野村さんが52本を打ったのは9年目、28歳のシーズン、落合さんが52本を打ったのは7年目、32歳のシーズンです。また、王さんが55本を打ったのは6年目、24歳のシーズンでした。5年目、22歳で迎えた今シーズン。村上宗隆のさらなる飛躍に日本中が注目しています。
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